前回ご紹介した学びたい人と教えたい人をつなぐ場を提供するサービスのストアカ。そこで包丁研ぎ講師として人気を博する豊住久さん(69)に話を伺った。豊住さんは大手外食企業を60歳で定年退職後、偶然テレビでストアカのことを知り、ストアカの講師になりたい人向けワークショップに参加したという。
そこで包丁研ぎの講座をやりたいと話すと否定的な意見が多かった。しかしストアカ代表のすすめもあり、2013年に自宅で開講する。最初はなかなか申し込みが来なかったというが、受講した人が書き込む感想(レビュー)が増えるにつれ、申し込みはどんどん多くなり、毎週金曜と土曜の午前(初級編)と午後(応用編)の教室は予約でいっぱいだ。
収入はいかほどだろうか?
「月に13万円~15万円。年金と合わせれば十分ですかね」(豊住さん)
豊住さんは寒い時期と暑い時期などは海外で過ごすが、現地でも現地在住の日本人や現地の人に包丁研ぎを教えているという。それはすべてボランティアなので、ストアカで得た収入は海外滞在費の足しになっているかなと笑う。
豊住さんは外食企業のゼネラルマネジャー時代に、店舗現場のスタッフから「包丁が切れなくて困っている」という苦情を受け、自ら研ぎ方を勉強したという。
「プロ向けではなく家庭の主婦に1回の受講でマスターしてもらうものです。男性でも釣りや料理の好きな方が来ますよ」
講座用の資料も自らパソコンで作り、出し惜しみすることなく受講生に配る。人に教えて喜んでもらえるのが何よりうれしいと語る豊住さん。いつも受講生と接しているせいか、とてもお若く見えた。(取材 構成 藤木俊明)