定年後いろいろな会社の顧問として働くことについて、ミドル・シニア世代の転職、キャリア開発に詳しい人事コンサルタント、天笠淳さん(50)にお話を伺う。前回は、定年後まだ自分の価値が把握できないうちに、高額の顧問契約を結ぶのは考えた方がいいというお話だった。
天笠さんは、定年後に顧問として働くことを模索する人は、まず複数社との契約で月商10万円を目指すのが現実的ではないかと語る。
「士業の方との顧問契約では月2万5000円ぐらいの金額をよく見ますね。それぐらいの金額だと、お互いの心理的負担になりにくいでしょう」(天笠さん)
企業が顧問料を払うのは、金額に見合ったものをもらえるからだと前回聞いたが、天笠さんはもうひとつあると言う。能力が高くなくても、その人と契約していることで経営者が何だか安心感を持つ場合もある。つまり「安心料」として見合うことだ。安心料としての月2万5000円の支払いは、企業の社長にとってそんなに苦にならない。「それぐらいの金額だと毎週行く必要もないかもしれません。定年後、まず『月2万5000円顧問』をうたって活動し、4社との契約で月10万円をめざすのが現実的です。それだと大きなプレッシャーもかからないでしょう」
とくに高い知見がなくとも、営業経験があれば顧問になるという方法がある、と天笠さんは続ける。
「私の知り合いでは営業顧問として、数社の名刺を持って活動している人がいます。何のことはない販売代行の仕事なんですけどね。それでも、顧問料として1社月2万5000円ほどもらえ、数社で一定ベースの金額は稼げる上に、成功報酬がそこに加わります」
定年後、顧問として活動するなら、はじめから高い報酬を期待せずにスモールスタートがよさそうだ。(取材・構成 藤木俊明)