第6回夕刊フジ定年起業応援サロンでは、山形宗紀(やまがた・そうき)税理士(60)を話を聞いた。
会社設立の手続き自体は司法書士・行政書士に依頼するのが普通だ。税理士には、会社をスタートさせてからの経営や納税のアドバイス、融資や補助金申請などの手伝いを依頼する。また、法人を設立して何期か過ぎたときの税務調査時のアドバイザーを務めてもらうこともある。
山形税理士には個人が起業し法人を設立することについて、税理士目線でのメリット・デメリットを聞いた。メリットとしては、法人にすることにより社会的信用を得られることが大きい。とくに大企業との取引時には法人口座が必要となることが多い。また、青色申告による欠損金が10年間繰り越し可能で、翌期以降の所得と相殺できる。
「単年度で赤字を出しても繰り越して、利益の出た期に相殺して取り返すことができます」(山形税理士)
デメリットとしては、赤字でも毎年均等割7万円(資本金1000万円以下の場合)の税金と、税理士への申告報酬が発生すること。社長1人の会社でも社会保険に加入が義務となって費用負担が生じることなどだ。
「個人事業主の場合、従業員4人以下は社会保険加入義務がありません。個人事業主でも青色申告をすれば最大65万円の控除が受けられますし、欠損金は3年間控除できます」
法人を設立すれば信用は得られるものの、いろいろな負担が生じる。とくに従業員を多く必要とせず、大手企業との取引がすぐにないのであれば、個人事業主からスタートする選択肢も十分にありそうだ。
参加した読者からは、「仕事に専念したい場合、納税関係の業務は厄介。税理士にアウトソーシングしたいですね」「その前にアウトソーシングできるぐらい収益があることが前提ですね(笑)」といった声が上がっていた。(取材・構成 藤木俊明)