シニア起業に詳しい銀座セカンドライフの片桐実央代表をゲストに呼んだ「夕刊フジ定年起業応援サロン」では、参加者から「失敗事例について聞きたい」という声が多く上がった。前回は「リスク分散を考えずに広告を打ち、継続ができなくなった事業例」を紹介したが、ものづくりで起業したいという人にも気をつけたいポイントがあるという。
「ものづくりで起業する人にはこだわりが強い人が多いのですが、完成度を求めるあまり、製品化がなかなか実現しない場合があります。すると、資金繰りがだんだんきびしくなります」(片桐さん)
片桐さんによると、製品化が1年間も停滞すると金融機関などからの評価も下がってしまう。その結果、次の融資や補助金を申請しても通らなくなることがあるという。
また、「なんとか『もの』が商品化できた人でも、作るのに精いっぱいで売り方を考えていなかった、というのもよくあるパターンです」。ものづくりで起業しようという人に「どうやって売るんですか?」と問いかけると、「通販」と答える人が多いそうだが、片桐さんが「通販一本やりで大丈夫ですか? それで売れなかったらどうしますか?」と聞くと、答えに詰まる人も多いらしい。
「何種類かの売り方を考えておくべきで、ひとつの方法に頼りすぎてしまうのは危険です」と片桐さんは言う。
定年起業し、自分の作ったものを売りたいという人は多い。しかし、あまりこだわりを持ちすぎるのも考えものだ。また、作ることだけで満足せず、販売ルートを考えることも必要なのだ。(取材・構成 藤木俊明)