鈴木秀一郎さん(59)は音楽の仕事に関わりたくて大手音響メーカーに入社。企画、マーケティングを担当してきました。しかし、会社の業績は振るわず、57歳の時に早期退職に応じました。退職後、東京都の起業セミナーに参加し、その縁で私(片桐)が会社設立のお手伝いをしました。
「退職後は宮仕えではなく、自分でやっていきたいとぼんやりと思っていました。やりたいことが、起業セミナーでより具体的になりました」(鈴木さん)
鈴木さんは、やはり音楽に関わる事業をしたいと考え、2014年にハイレス・ミュージック株式会社(http://www.hires-music.jp/)を設立。英メリディアン・オーディオ社の高級ハンドメイド・オーディオ製品の輸入販売を始めました。メリディアン社の音響システムは高級車にも採用されており、音にこだわりのある人が顧客です。
「会社員時代と違い、エンドユーザーと直接やり取りできるのは楽しいですね」という鈴木さんの会社は、設立3期目に入っています。
「トントンまでもう少しというレベルですね。しかし、固定費もそんなにかからないですし、やっていけそうです」
独立当初は英国との時差があり、やり取りが大変でした。会社員時代との生活リズムの違いも感じたそうですが、最近は慣れたと言います。
「起業してやっていくためにはまず健康管理ですね。会社員なら1カ月入院しても何とかなりますが、起業するとそうはいきません」
取材後、鈴木さんは都内の得意先回りに元気に出かけていきました。 (取材・構成 藤木俊明)