今野忠雄さん(61)は、学生の頃から気象の仕事に就きたいと考えていました。その頃まだ珍しかった民間気象会社に就職。小さな所帯でしたが楽しく仕事をしていました。しかし、会社が苦境に陥ります。そこで今野さんは、その会社の技術者と一緒に、40代半ばで起業に踏み切りました。
「起業後、ある企業の新規事業に携わることができ、順調だったのですが、その新規事業自体が打ち切りになってしまったのです」(今野さん)
事業を続けるのは困難と判断し、10年目で会社を閉じました。そして、その事業に関わっていた人に声をかけられ、中堅の通信会社に入社します。しかし若干畑違いの仕事でした。働きながら、今野さんは定年後に向けて準備を開始します。
そして60歳になりました。雇用延長も可能だったのですが、もう一度気象の仕事に関わりたいと、2015年10月に株式会社スカイデータを設立しました。
「今はビッグデータの時代ですが気象情報はまだ活用されきっていません。気象データの分析という仕事に光が当たると信じて起業しました」
創業融資を受けた今野さんは、老後の資金もある程度残してスタートすることができました。今野さんにとっては、2回目の起業になります。
「今回はより慎重に資金繰りを考えていきます。会社の資金計画と、自分自身のロードマップの二本立てで考えることが大事だと思いますね」今野さんは前職の定年前、次の起業に向け友人たちとの勉強会を開くなどして準備をしたそうです。「やはり定年前のウオーミングアップが大事だと思いますね」とアドバイスしてくれました。 (取材・構成 藤木俊明)