同社の梶原唯乗社長は、大学卒業後に文化教育関連の企業に就職。その後友人と絵画販売の会社を2社立ち上げ、うち1社をIPOまでこぎ着けた敏腕経営者だ。
しかし、ライフワークとして農業を手がけたいと考え早期退職を決意する。そしてオーストラリアで和牛繁殖農場の立ち上げを準備するが、BSE発生とともに牛肉輸入規制が発令され、撤退を余儀なくされてしまう。
そんな梶浦社長が新たなチャンスを求めて向かったのは中国だった。ちょうどそのころ京都議定書によるCO2削減が叫ばれ、石油価格が高騰したことを受けて「これからはバイオ燃料事業が役に立つ」と考えたからだ。そして軽油に代わる「バイオディーゼル」の原料植物ジャトロファの試験栽培を始めたのだが、1年目は数十年に一度雪に見舞われ、その翌年は大規模干ばつが発生し両年の収穫はゼロ。まさに泣きっ面に蜂だった。
だがそれにもめげず、中国から南に進みカンボジアに渡る。そして現地での情報収集のすえに出会ったのが、キャッサバだった。
「カンボジアは畑作向きの良い土壌が多く、地価も日本の10分の1ほどです。またタイやベトナムなど近隣国家からのニーズもあるので、これならいけるぞと確信しました」
こうして2年前から試験栽培を開始。芋の栽培期間を通常の2倍の2年とし、より高品質な芋の大量収穫に成功する。そのほか試験栽培から得られたノウハウをもとに、230haの大規模栽培を今年からスタートさせた。農地は地主や農民から借り、栽培には現地の農家を雇用しているという。
「農家が安定収入を得られるように、当社が2年間農地を借り上げます。また生活が不安定で、教育が受けられない学生への奨学金支援も行っていきたいと思っています」
現在は1法人、20名の個人と委託栽培契約を結んでおり、今後も引き続きバイオ燃料関連企業向けのキャッサバ芋を販売していくという。
バイオ・アグリ株式会社 代表取締役 梶原 唯乗 様のインタビュー
社会に役立ち、将来性のある農業ビジネスを探すため、海を渡る
バイオ・アグリ株式会社
代表取締役 梶原 唯乗 様
社会に役立ち、将来性のある農業ビジネスを探すため、海を渡った企業がバイオ・アグリ(東京都新宿区)だ。同社は現在、カンボジアでバイオ燃料になるキャッサバ芋を委託栽培するが、そこに至るまでの道のりには紆余曲折があった。
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設立 2007年3月