“完全反射”のダイアモンドとして、最高技術のカットが施された「アルカダイアモンド」。その販売に特化し、設立50年を迎えるのがアルカワールド(広島県福山市)である。
同社の迫恭一郎社長は宝石卸業を営む父の背中を見て育ち、大学在学中に宝石鑑定士の資格取得を決意。宝石の歴史や文化を学び、あらゆるものを生み出す宝石の力に惹かれた。卒業後に宝石鑑定機関に就職したのち、26歳の時に関西宝石宝飾の社長に就任した。
日々の事業拡大に奔走し、その結果最盛期は200人の従業員を抱えるまでになったが、商社が宝石事業を撤退した1995年に情勢は一転。宝石業界の崩壊を目にし、事業の見直しを再考する。それから8年後の2003年、優れた腕を持つ研磨職人とEAVと呼ばれるエネルギーバランス測定機器に出会ったのがきっかけで、再研磨が施されたダイアモンドの存在を知ることになる。そして、このEAV自体がダイアモンドの持つ「癒しの力」といった皮膚電気抵抗値上で証明したことで、迫社長は「ダイアで人を癒す」ことを決意する。
卸売業から小売業への事業転換を行い、心機一転、取引銀行から融資を得ようとかけ合うも、逆に霊感商法と勘違いされ取引中止の憂き目に遭う。さらにこれに当惑した社員が次々に退職していき、40名いた社員も最終的には8名まで落ち込む。そのため、宝石の在庫を売っては完璧な品質のダイアモンドの開発に費やすという自転車操業の日々がしばらく続くが、ダイアの品質に絶対の自信を持っていた迫社長はあえて強気の姿勢を崩さず、出張販売を行っていた東京に販売サロンを設ける。TV放映を機に評判を呼び、今では多くの女性のほか医師や企業経営者もサロンに足を運ぶようになった。
「20年以上、事業の拡大や売り上げばかりを追っていましたが、人を癒すダイアモンドに触れ、かつて味わった宝石への純粋な感動が呼び戻されました。今の仕事は天職だと確信しています」(迫社長)