「トッカン」と呼ばれる特別国税調査官の経験を生かし、財政面から経営コンサルティングを行っているのがSKC(東京都新宿区)の堀内章典社長だ。堀内社長は税務調査のためにさまざまな企業を訪問する中で、不正な財務状況も見てきた。しかしそのほとんどは悪意を持って行っているわけでなく、経営者の知識や認識不足によって起こっている事態だったという。
「年間約30社を回って不正が見つかるのは約15%。決して少ない数字ではありません」(堀内社長)
そこで、堀内社長は自らの経験から得た知識を経営者に与えようと一念発起。定年退職を待たずに税務署を辞職し、同社を設立したのだった。
同社の主な事業内容は、事業計画の策定から事業継承時に発生する税務問題の解消など、多岐に渡る。また堀内社長はトッカン時代に税務調査の訪問の際に萎縮する経営者たちがいたことから、自身が税務調査の立会ことも業務内容に盛り込んだ。自身が経営者と調査官の目線を持つことで双方の橋渡しがしたいと考えたのだという。
「恐らくトッカンのままでも経営者の方々にアドバイスはできたと思います。しかし同じ経営者という肩書を持つことにより、クライアント側からの親近感を覚えやすくなるはずだと起業しました」(堀内社長)
設立から約半年した現在は、税理士やビジネスマナーインストラクターといった仲間とともに、アッセンブリー形式での経営コンサルティングも企画中。事業内容が伝えやすいセミナー活動で顧客獲得を図っていくという。