健康器具など販売するネットショップを運営する男性(58)がいます。売り上げが伸びて顧客とのやり取りなど事務作業が増え、仕入れ交渉などの業務に支障が出ているので、人を雇って事務を任せたいと考えています。今回は初めて人を雇用する場合のポイントをお話しします。
好きな仕事で、無理なく適度な収入を得る「ゆる起業」は、1人でされる方が多いのですが、中には男性のようにビジネスが拡大し、人を雇う必要が出てくるケースもあります。こうした場合、皆さんが悩むのは、雇用するタイミングと方法です。
まずタイミングですが、忙しくなったからといってすぐに雇用するのではなく、継続的に売り上げを見込めるか、人件費を差し引いても利益が得られるかを慎重に検討しましょう。アルバイトでも継続して雇えば毎月固定の人件費がかかりますし、場合によっては社会保険や労働保険などの手続きも必要です。まず、正社員かアルバイトかといった雇用形態、給与形態を決め、いつから人が必要かを見極めた上で、逆算して求人の手続きを始めましょう。
求人の方法は主に、(1)公共職業安定所(ハローワーク)(2)求人広告(3)人材紹介会社-の3つです。(1)はまず、自社の所在地を管轄するハローワークで事業所登録をし、求人申込書を提出します。すると自社の求人情報が所内の情報端末やサイトに掲載され、求職者はハローワークからの紹介状を持って応募します。
事業者側のメリットは、採用活動に費用がかからないこと。人材採用の相談ができるほか、ハローワーク経由で雇用することで受けられる返済不要の助成金もあります。
(2)は採用したいタイミングで短期間に人材を集めやすいですが、有料の場合が多いです。(3)はその会社を通じて紹介された人を採用すると、一般的にその人に支払う年収の25~30%の紹介料がかかります。ただ、基本的に求める条件に沿った人を紹介してくれるため、専門的なスキルを持つ人材が必要な場合などには検討の価値があります。
男性は求人広告を使って事務作業を手伝ってもらうアルバイトを募集し、採用することができました。アルバイトに作業を任せることで時間ができ、商品を充実させ、経営面にも力を注げるようになりました。