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産経新聞・片桐実央の起業相談

【片桐実央のゆる起業のススメ】商品・サービス価格の決め方

 今回は、ネイルサロンの起業を考えている女性からご相談をいただきました。近くにネイルサロンの競合が多いので、ネイルの料金を安く設定した方がよいのではないかと悩んでいました。商品やサービスの料金の設定方法をお伝えします。

 商品やサービスの料金は、顧客が購入する際の決め手になります。高すぎると売れず、安すぎると顧客に不信感を持たれてしまったり、利益につながらなかったり、という事態になります。

 価格は、商品やサービスの提供にかかった費用から算出した価格(原価)である下限の価格と、顧客が「ここまでなら出せる」という上限の価格の範囲内で決まります。

 価格は、次の「3つの視点」で考えましょう。

 1つ目はいくらであれば、原価を回収したうえで適切な利益を得られるかという自社の視点です。2つ目は顧客はいくらであれば、商品やサービスを購入したいと思うかという顧客の視点です。3つ目は競合他社の商品の価格がいくらになっているかという競合の視点です。この3つの視点を考慮し、顧客が満足し、さらに自社が利益を獲得できる価格を設定します。価格決定後は、試し売り(テストマーケティング)をして、顧客の反応を確認しましょう。

 低価格で商品やサービスを提供すると、顧客にとって安さは購入をする際の決め手になるため、優位性があります。しかし、利益を出すのが難しくなりますので、自社の視点も大切なのです。

 どうしても低価格で販売したい場合は、「薄利」でも利益を上げられるよう「多売」する必要があります。「多売」のためには、例えばネイルサロンだと、ネイルの予約受け付けをシステム化したり、施術時間を短くして回転率を上げるなど業務を効率化します。また、低価格にする場合は、利益計画を綿密に作る必要があります。起業後、予想以上に経費がかかり、原価割れをしないように売り上げと経費を見積もった利益計画表を作成した方がよいでしょう。

 女性は、サービスの内容や業務の流れを見直し、低価格でのネイルサービスを実現しました。利益計画も作成して、毎月計画とのずれがないか確認しつつ進めています。

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