「シニア起業」という言葉は、ここ2、3年で定着しました。やりがいのある仕事を、身の丈に合った形で起業するという「ゆる起業」も好評です。「人生100年時代」が流行語大賞にノミネートされ、より一層定年後も働き続けたいという人たちは増えています。今日は起業準備の仕方について伝えたいと思います。
起業に関心を持ったら、まずは起業を勉強しましょう。本を読むことや、1対1の起業相談をする方法もありますが、お薦めは自治体や民間が主催する起業セミナーです。よくお話しで「起業の何が分からないかが分からない」という声を聞きますが、セミナーだと幅広く網羅して説明してもらえるので安心です。
セミナーも起業準備の進捗状況別に内容を設定しているものもあれば、対象者を絞りシニア、女性、学生向け等としているセミナーもあります。また参加費も無料であったり数千円と比較的低かったりするものが多いので、気軽に参加することができます。
石川健司さん(仮名)は、18日に開催された埼玉県主催の「シニア起業事例発表会」に参加しました。妻がこのイベントを見つけてくれて、せっかくなので参加してみようと思いました。自分の今後を考える上で、1つの選択肢として起業に興味があったからです。
「将来、今までの業務の経験を生かしてコンサルタントをやってみたいと思いますが、そもそも何から始めたらよいのか分からないし、お客さんを見つける方法も教えてほしいです」
石川さんはイベントに参加し、前半は私が講演した起業セミナーである「人生100年時代!起業の仕方」を受講しましたが、後半は3人のシニア起業家の方の事例発表を聞きました。
起業セミナーは、一般的に起業アイデアの見つけ方や、事業計画の作り方などの勉強が中心です。その他、起業時に活用できる公的な支援制度の利用法なども紹介されます。市場調査やターゲットの決め方、またターゲットに対するアプローチ法も学ぶことができます。
起業時に、様々な起業事例を学ぶことも有効です。他の事例の良い点を自分の事業計画に取り入れ、ビジネスモデルの作り方を勉強することもできます。同業他社に限らず異業種に学ぶことも多いです。
他の人の事例を通じて、いくら資金をかけたか、1人目のお客様を見つめるまでどれぐらい時間がかかったとか、何に苦労してどうやって乗り越えたかを知ることができますので、知っておくと失敗を回避することができます。さらに他社の失敗例を知っておくと、先につまずきやすいポイントが分かるので、勉強になります。
他の方の起業事例をなかなか聞く機会が無いという方は、起業家が集まる交流会に参加すると良いでしょう。「(地域名) 起業 交流会」等でインターネット検索をすると、起業家が集まる交流会に参加することができます。
石川さんは、コンサルタントとしての起業準備をするため、平日夜に交流会に行くことにしました。その際、会社の名刺とは別に、個人の名刺を作成しました。同世代の人がどのように起業しているのか、お話しを通じ学ぶ予定です。
起業準備は人にもよりますが、半年から1年かける方もいます。起業内容が漠然としている、リスクが高いビジネスをやりたいとき、仕入れや販路のあてが無い等の場合は、起業準備は念入りにした方が良いでしょう。
(銀座セカンドライフ社長 片桐実央)