山口諄也さん(82)は、印刷会社やIT企業を定年まで勤めた後、「携帯システム研究所」(東京・中央)を立ち上げました。現在個人事業主としてホームページ制作の代理店を行っています。ホームページを立ち上げたい人に技術的なアドバイスや改善提案を行いつつ、ホームページを納品するというお仕事です。
しかし、山口さん自身がホームページを制作するのではなく、大手制作会社の代理店として活動しています。従業員を雇用することなく、ご自身が直接クライアントと会って相談にのっていらっしゃいます。山口さんは、「自分のペースで働くことができ、安定収入が得られるので、この仕事を続けやすい」とおっしゃいます。
このように、定年後に始める仕事の中でも、山口さんのように、実際にサービスを提供する会社に「つなぐ」お仕事は、人気が高いです。「販売代理店」「紹介代理店」「営業代行」「営業支援」等の様々な言い方がありますが、いずれも人と人を「つなぐ」お仕事です。紹介手数料やマージンは依頼主とサービス提供会社の取引が成立したときだけ受け取る契約もあれば、取引が続いている限り、毎月得られる契約もあります。
山口さんの場合、紹介した方が月額プランを継続している限り料金の一部を得るビジネスモデルになっています。山口さんは現在、飲食店や美容院など取引先が40社ほどあります。
このビジネスモデルは安定収入が得られるため、年金の上乗せ収入になると好評です。初期投資がかからないため、金融機関から融資を受ける必要もありません。その点で赤字になりにくい・失敗しにくいビジネスと言えるでしょう。
「つなぐ」お仕事は他に、大手新電力会社の代理店として、電力の販売を行う事業や、レンタルプリンターの代理店等があります。定年後に「つなぐ」お仕事をしたい方は、代理店募集の説明会に参加したり、自分が気に入った製品やサービスを提供している会社に直接アプローチして、代理店をしたい旨を申し出るのも良いでしょう。
一方で「つなぐ」お仕事は、その製品やサービスに対する知識が必要で、自社の強みや他社との違い等も説明できなければなりません。お客様に満足していただき、そのサービスを継続してご利用いただかないと継続収入になりませんので、信頼される人間関係づくりが大切です。
山口さんは、創業当初なかなか仕事が決まらず苦労したそうですが、前職で原価計算について詳しくなっていたので、ホームページ制作の話をする前に、まず原価計算についてアドバイスして信頼を得たそうです。前職で培った知識や経験を強みに、顧客との接点を作る成功例です。
山口さんに、創業4年目で黒字化し、20年以上も事業を続けられている秘訣を聞きました。「体力的には無理をしないように気を付けています。お客さんにホームページで売り上げが上がったと言われると、とてもやりがいを感じます。目標100社に向けてこれからも精力的に活動したい。」とおっしゃっていました。(銀座セカンドライフ社長 片桐実央)