美宝(みほ)れいこさん(44)は、パラレルキャリア(複業)で働く女性の活躍を応援するために、2018年にエール株式会社(東京都渋谷区)を設立しました。現在は、国内外から3000人以上の女性が所属するコミュニティーの代表を務めるだけでなく、女性のキャリア支援スクールの運営、優秀な女性と企業をつなぐプロダクション事業などを行っています。
また、働く女性向けの講演やコンテストの審査員などにも積極的に取り組んでいます。美宝さんが起業したきっかけは、母が亡くなったことで改めて自分のキャリアを見つめなおしたことでした。まずは好きなことで起業してみようとパラレルキャリアで始めたそうです。
会社員を続けながらアロマセラピストの資格を取ってリラクセーションサロンをオープンしました。しかし、どうやって集客したらいいのか方法がわからず、それまでSNSなどを使った発信も一切したことがなかったため、ビジネス塾に通い、基礎知識やSNSマーケティングを学びながらお店を続けていました。
SNSやウェブで少しずつ集客ができるようになってきたころ、キャリアに悩む女性から複業の相談をされることが増えていきました。そこで複業のコンサルティングを始めたところ、かなりの需要があったことから本格的に女性のキャリア支援をメインとする法人を設立して事業として取り組みを始めたそうです。
コンサルティングで大切にしたことは相手との「関係構築」でした。SNSでセルフブランディングを行いつつも、売り込むのではなくコミュニケーションを大事にすることで「話してみたい」「会ってみたい」という方が増えていき、全国からお申し込みが入るようになりました。
起業して苦労した点は事業モデルを拡大することでした。SNSを活用した個人向けスモールビジネスということもあり、1人で事業を成長させていくことに限界を感じ、改めてビジネスモデルを考え直しました。まずは軸となるビジョンを掲げ、その思いに共感してくれる仲間をスカウトし、新たなモデルを再スタートさせました。それが今のコミュニティーの基盤にもつながっているそうです。
そして、個人向けから法人向けサービスまで事業を増やしたことで、売り上げが安定しました。美宝さんは、活躍する女性がもっと増えてほしいという思いがビジネスの根底にあるため、コミュニティー内の女性のスキルアップに貢献することができたことや、本業で成果につながった報告を受ける時が、一番うれしいということです。
起業の準備に時間をかける人もいます。スピードの早い時代なので完璧にしてからスタートするのではなく、60%程度でもいいので世の中にサービスを出してみて、改善をしながら整えていく方法がおすすめだと、最後に美宝さんは語ってくれました。
事業が最初から考えた通りにうまくいくことはまれです。美宝さんは、目的を変えずに手段を柔軟に変化させていくことが重要であるという考えの持ち主でした。お客様の反応や世の中の反応に対してフィードバックを重ねていくことで事業モデルが少しずつ磨かれ、最終的にお客様に喜んでもらえる。そして競争力のある独自の商品やサービスを提供することができるようになると思います。
(銀座セカンドライフ社長 片桐実央)