ご自身の経験を生かした仕事内容で起業するケースは非常に多いです。今回は専門知識を生かして起業した方を紹介します。女性向けにメークアップ術などを指南するトライカラーズ(横浜市)代表の鈴木香加さん(51)は、美容師として5年間勤務した後、2016年8月に起業しました。
トライカラーズは、その人に似合う色をアドバイスするパーソナルカラー診断のノウハウをファッションメークのレッスンなどに取り入れています。
女性向けの印象アップや若見せメイクの講座には年間約400人が受講しています。マンツーマンのレッスンで、受講生の自分に合った色、似合う色を最大限に引き出すお手伝いをします。
鈴木さんが起業当初から意識していることは、何事に対してもチャレンジ精神を忘れないということです。お客に対してもメークなどで使う色味について思い切った「挑戦」を後押しします。
自分の好きな色とメークや服装などで印象を高めるパーソナルカラーはイコールではありません。最初は誰でも戸惑いがありますが、新しい色を受け入れることで、今までとは違った一面を発見できることがあるそうです。そうしたお客の発見をみるのも鈴木さんのやりがいです。
鈴木さんに起業時の苦労についてうかがうと、最初は事業内容を理解していただくのが大変でホームページにも事業内容を細かく書いていました。今となっては「パーソナルカラー」という言葉も認知されてきましたが、鈴木さんの起業当時は珍しい考え方で説明も難しかったのです。
集客においても広告にどれだけの費用をかけるべきか、SNS(交流サイト)でどういった情報を発信すればよいのかなど、多くのことで悩んだ時期があったそうです。しかし、自分で打開策を考えることで起業家としての自身の成長につながり、やがてそれが仕事のやりがいに変わっていきました。
鈴木さんのように起業当初は集客で苦労するものです。最初からうまくいくことはまれで、最初はターゲットを絞り、少額の費用でできる範囲のことからスタートするのが定石です。結果が出始めてから段階的にお金もかけるようにするのです。
接客業で成功している人の多くは、さまざま試した上で効果的な顧客へのアプローチ方法を見つけ出し、それがその後のノウハウや競争力となっています。現在鈴木さんは、女性向けのレッスンのみ実施していますが男性のためのレッスンも始められるよう準備を進めているとのことでした。
起業を考えている方の中には少なからず不安や悩みがあると思います。鈴木さんも当初は自信がなかったそうですが、この分野で結果を出すしかないという強い想いと覚悟で歩みを進めました。そして「人生の選択肢として起業があるのなら、チャレンジする価値はある」とおっしゃっていました。
私は鈴木さんの話を聞いて、チャレンジ精神はもちろん、それ以上に一歩踏み出す勇気が大事であるということを改めて思いました。(銀座セカンドライフ社長 片桐実央)