今回は、あらゆるモノがネットにつながる「IoT」関連サービスで起業した方を紹介します。小林圭一さん(46)は長年IoT事業に携わり、リネジェス(東京・中央)を設立されました。
小林さんはハウスメーカーに対して、自社開発のIoTデバイスやシステムを使った住宅の「スマート化」を支援しています。スマート化とは住宅設備の情報処理・管理能力を高めることです。
スマートフォンやスマートスピーカーを利用した照明、エアコン、カーテンなどの遠隔操作はその一例です。また、あらかじめ決められた条件に従って設備が自動で稼働することも可能となります。
リネジェスは日本や中国、台湾のメーカーとの強いつながりを生かして、顧客であるハウスメーカーのニーズに合わせた製品・システム設計から部品供給まで一貫して手掛けるのが強みです。
複数のメーカーと連携することで提案の幅が広がります。もちろん特定の1社と組むのも結構ですが、過度に依存してしまうとこの会社と取引ができなくなった時に事業継続が難しくなるリスクもあります。場合によっては顧客がメーカーと直接取引してし
まうことも考えられます。
まずはリネジェスのように協業の輪を広げて取扱製品を増やすとともに自社独自のサービスを組み込んで付加価値を高める努力をされるとよいでしょう。
小林さんは今後、介護業界との連携も考えているとのことでした。自動化で介護業務を便利にする仕組み作りに貢献したいと仰っていました。
起業家の方になぜ起業したのかお話を伺うと、小林さんのように「社会を変えたい」「役に立ちたい」という強い思いが動機となったという方が多いです。もしそんな思いがあるのであれば、読者の皆さんも起業家になる素質があるかもしれません。
小林さんに起業を検討している人へのメッセージをお願いすると、「創業前後の事業計画の作成とリスク管理がとても大事だ」とのアドバイスをいただきました。小林さん自身は起業前に副業などを行った経験はなかったそうですが、いま思い返すとリスク管理について学ぶためにも、いきなり起業するのではなく自分のできる範囲で小さく副業を始めてみるのもよいかもしれないとのことでした。(銀座セカンドライフ社長 片桐実央)