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日経MJ・ゆる起業のススメ

2019年04月26日

【50歳からのゆる起業】新技術の商品化へ汗

 多様なアイデアを次々と実現させるシリアルアントレプレナー(連続起業家)。若い世代に限った話ではありません。


 南方良弘さん(59)は35年間メディカル業界で働き、退職後に当社の起業スクールを受講して起業した生徒さんです。南方さんの場合、事業計画の立て方、販路開拓の方法、資金調達方法について勉強しました。連続授業を同じ受講生たちで聴きますので、起業準備の大変な時期を共に乗り越えるという意味で、ある種の仲間意識を持ちます。


 私自身も起業スクールに通ったことがありますが、年齢や業種が違う方たちと交流がありますので、とても勉強になり良い刺激になりました。


 南方さんは最初、コンサルティングを事業とするキューブジャパン(横浜市)を2017年に起こしました。さらにその後、南方さんは画期的な歯科治療技術を持つ方と知り合い、その技術を事業化するべく、18年にテンデント・インターナショナル(東京・中央)を立ち上げることになりました。


 このように、50代、60代で起業している人の中には、数社設立している方も少なくなくありません。南方さんの1社目は、自分ひとりでの代表取締役でもあり株主にもなる、いわゆる「1人会社」です。定年前後で起業する方の約9割がこのパターンで起業しています。自分でお金を出し、自分のペースで仕事もできるので経営の自由度が高く、ゆる起業が実現し易いスタイルです。


 一方、南方さんの2社目は、起業のアイデアを持った方を中心に人が集まり組織として事業化していくというスタイルで起業しました。南方さんは歯科治療技術を持つ方の技術に目を付け、その技術を実現する歯科技工士の方を巻き込み、自分が経営管理をするということで法人化しました。株主5人、取締役4人、監査役1人です。


 南方さんが目を付けた歯科治療技術「3DR」は、欠損歯の周りの健康な歯や顎骨を削ることなく義歯をしっかりと固定し、自分の歯と変わらないかみごたえを実現しようとするものです。これまでの「部分入れ歯」「ブリッジ」「インプラント」に変わる全く新しい治療法として開発した、ボタンで取り外しできるタイプの義歯です。


 テンデント・インターナショナルの「3DR」事業は通常のビジネスと違い、治療の安全性や有効性を担保しながら、歯科医、患者の理解を得ながら進めていかなくてはなりません。「治療する歯科医に、患者さんの症状に応じて『3DR』を選択肢のひとつとして提案してもらいます。そして歯科医と患者の考えが一致したとき、初めて製品が治療器具として使われることになります」(南方さん)


 この事業を本格的に展開するには、マニュアルをはじめ、詳細な仕組み作りが必要です。南方さんはこの1年、その仕組み作りに専念してきたといい、いよいよ今年からは歯科医にアプローチしていくそうです。そして将来の夢として、自身の手で東京と大阪に歯科医院を開設し、「3DR」のショールームにしたいとおっしゃいます。(銀座セカンドライフ社長片桐実央)

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