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日経MJ・ゆる起業のススメ

2021年05月28日

【50歳からのゆる起業】経験見つめ、やりたい仕事発見

 勤めていた会社の都合から退社を余儀なくされ、そのことをきっかけに自身の働き方を見直す方もいらっしゃいます。婚活サポートジュール・ジュール代表の三澤希子さんもその一人です。


 セゾングループで海外ファッションブランドのライセンス管理などを担当してきた三澤さんですが、同グループの解体とリストラという出来事があり、2000年代初めの44歳の時にやむなく会社を辞することになりました。


 再就職先を探しましたが、40歳を超えた女性の求人はかなり少なく、苦労したといいます。そんな時に商工会議所主催の女性向け起業セミナーに参加し、「起業」という手段もあると気づいたそうです。セミナーでは起業するには営業力を付けた方がいいとアドバイスされ、営業のノウハウを学ぶために結婚相談所などで経験を積みました。人材支援会社の社長室で働く機会を得て、経営者の苦労を身近で学ぶこともできました。


 50歳過ぎに事務代行会社を友人と起こそうとしましたが、準備段階で上手くいかず、計画の見直しに迫られます。「一人で出来ること」「在庫がないこと」「自分の時間が確保できること」「人が喜んでくれて、自分も喜べること」など、やりたいことを整理する中で、自分にしかできない結婚相談所で起業しようと、ようやく決まりました。


 三澤さんはターゲットとなる顧客を45歳以上のバリバリ働いてきたキャリアウーマンに絞りました。今まで仕事中心の生活を送ってきたが故に、自分から結婚に向けたアクションを起こしにくかったり、年齢的に結婚相談所で適した人が見つかりにくかったりする層です。こうした年代を対象にすることで、他社とも差別化できると判断しました。


 三澤さんは友人・知人からの紹介を軸に事業を展開されています。無理に活動範囲を広げないことが、自分のためにもお客様のためにもなると考えているからです。無理せず自分のペースで、最善と思う丁寧なサポートができているそうです。


 会社に勤めていたころとは心の余裕がかなり違うようで、「結婚相談所をやっていてうれしいことはその人にぴったりの人を紹介できたときです」と笑顔で話されていました。残念ながら入会に至らなかったとしても、気が合いお友達になったりして、人との交流の輪が広がることもあるます。そういった部分でもやりがいを感じるようです。新型コロナウイルス感染問題の影響で入会された女性との面談や、実際のお見合いが難しい状況です。そんな時ですが、三澤さんは時間を有効に使って栄養学などの勉強も始めています。婚活支援に健康サポートもできるば、さらに独自性が出せると話されていました。


 当初予定がなくても起業することがあります。大事なことは自分のこれまでの経験や得意分野、やりたいことを棚卸しすることです。そうすれば自分の決断にも納得できますし、経験の延長線上ならば成功も確率も上がります。三澤さんのようにセミナーに参加するなどして足らない部分を補うことも可能です。自身の経験にプラスアルファとなる学びを加えることで起業につながるのです。


(銀座セカンドライフ社長 片桐実央)

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