伊勢田愛さん(56)は、もともと国家公務員、英語講師、秘書、ITコンサルタントなど多彩な経験をお持ちでしたが、2017年にエステの技術講師としてセミナーの運営会社を立ち上げました。そして19年にはエステサロン、化粧品販売、美容セミナー事業を手掛ける「魔法のランプ」(東京・中央)を設立されました。
エステ業界で起業したのは、会社員の時の実体験だったそうです。当時常に仕事上での緊張状態が続き、寝つけない日々が続いたそうです。
体調を整えるため漢方や整体院など試したそうですが、一番効果があったのはエステティシャンによる施術でした。疲れた体をほぐし肌もきれいになった満足感で、精神的にも落ち着きました。エステや美容に関心を持ったきっかけです。
伊勢田さんは、家事や仕事で忙しく過ごしている女性を癒やしたいという思いからエステの学校に通ったそうです。会社の立ち上げに向けて3年計画を立て、より専門的に「内面・外面・精神面」のケアができるようにと食生活指導士、中高老年運動指導士、心理カウンセラーの資格も取得しました。
こうして個人事業主としてエステの技術セミナーを開講しました。セミナー講師やコンサルタントといった職業は大きな初期投資が必要ないこともあり起業する上で、人気のある職業です。
セミナー開講後間もなく、受講生の看護師の女性から「エステサロンを開業したい」と相談されました。伊勢田さんはこの方のエステサロン開業を手伝います。このときには出店の手続きやホームページ作成などでITコンサルタントなど前職で得た知識が生かせたといいます。
その後も、セミナーに参加者などのエステサロンの開業支援を続けました。こうした店舗が全国で10店舗ほどに増えたところで、「魔法のランプ」という屋号ですべての店舗をグループ化することになります。
伊勢田さんご自身もエステティシャンとして第一線でご活躍される傍ら、新しいフェイシャル技術の開発など日々技術に磨きをかけています。
20年春以降の新型コロナウイルス下で、対面のセミナーやエステサロンは縮小を余儀なくされました。しかし、エンジニアの経験からセミナーのオンライン化を実現します。サロン専売の化粧品のオンライン通販に力を入れました。
さらにエステもオンラインの動画を通じてカウンセリングを行い、利用者自身が施術するのを指導する新しいサービスを開発します。「オンラインという新しいツールを使ってエステ事業を発展させていくことは、私自身にとっても社会に貢献していくチャンスでもある」と前向きです。
今後は業界にもオンラインを活用したエステを広めて、女性がどんな時代でも輝けるように手助けをしていきたいそうです。このような取り組みが徐々に認知され、今ではオンラインでのエステの利用者は増加傾向だそうです。またこうしたノウハウを共有したいと、首都圏のエステサロンから依頼が来ているそうです。
(銀座セカンドライフ社長 片桐実央)