今回は社会保険労務士として「障害年金」で請求業務の代理をサポートしている、ライフエイド社会保険労務士事務所(川崎市)の鈴木宏郎代表にお話を伺いました。
鈴木代表は小売業の管理職・本部スタッフを経験されていましたが、転職の際に自身の知らない分野を勉強してみたいと考えていました。そういった中で労働保険や社会保険の重要性を知り、これらを知らない人に教える仕事がしたいと思い、2017年に社労士の資格を取得、18年に開業しました。
社労士は組織相手のBtoBが主流ですが、鈴木代表は労働者個人に対して仕事がしたいという理由から、障害年金請求の代理業務をメインにしようと考えました。障害年金は、病気やけがの後遺症で働けない方らへの給付制度です。そういった方がスムーズに障害年金を受給できるにようするのが社労士の仕事です。比較的に難易度が高く専門的な勉強も必要ですが、地域・社会的なニーズがある中でまだまだ供給が十分とは言えません。長期的な視点で考えると、社会的な課題解決に寄与できることに加え、一つの分野に特化することでノウハウが溜(た)まりやすいことから社労士としての特長を出すことができます。
仕事は「受給ができないか」というご相談を受けてから始まります。初診日や就労状況、日常生活への影響などをヒアリングします。そして年金保険料の納付状況などを基に年金申請ができる条件を満たしているかを判断します。その後、病院や医師から初診日の証明書や診断書を入手し、病歴を振り返ります。申請書類を作成して年金請求を行います。日本年金機構による約3カ月の審査を経て支給決定となります。
コロナ禍に突入してからお問い合わせや契約が増加しました。外に出られずに今後のことで不安を抱えていた方が障害年金を知り、相談に至った方が多くいたそうです。
集客については「ネット広告」の出稿に力を入れたことで問い合わせが増え、売り上げも年々伸びています。広告費については日本政策金融公庫から融資を受けました。今ではお客様からの紹介による問い合わせや、就労移行を支援する事業所からの紹介などもあるそうです。
開業当初は「どのようにして仕事を取るか」について苦労したそうです。そんな時に同じように障害年金を取り扱う先輩がいる社労士事務所が業務委託契約を結んでくれて仕事を回してくれました。それにより経験や実績を積めたことも幸運だったとおっしゃっていました。今後について伺うと、障害年金受給を考えている方らに向けてセミナーや勉強会の開催を考えているそうです。少しでも受給で困っている人のためになればうれしいと話していました。
業種によって多少異なりますが、開業してから黒字化までの期間は平均6〜7カ月というデータがあります。起業時にかかる固定費や事業に必要な経費については仕方がないとしても、黒字化するまでの間は支出を極力抑える必要があると言います。その後に使っていく経費を段階的に上げていく考え方がとても大事だと話していました。
(銀座セカンドライフ社長 片桐実央)