定年起業にチャレンジする前に、「自分の力で収入を得るリハーサル」として、副業を経験するのもひとつの方法です。会社の看板を離れた自分の市場価値を、客観的に見直すいい機会になるでしょう。しかし、あくまで会社のルールに従い、問題の起きないように。定年前にトラブルの種を作ってはもったいないですからね。
副業の中でも、問題になりにくいのが、「講師」ではないかと以前述べましたが、「ものを書くことで収入を得ること」も、問題視されないことが多そうです。
「ものを書くこと」で収入を得るとは、大きく分けて、まずメディアに寄稿して原稿料をもらうこと、「ライター業」としましょうか。もうひとつは、書籍を書いて、印税あるいは原稿料をもらうこと。こちらは「作家業」としましょうか。
小説を書いたり脚本を書いたり、本当に作家を目指すというのは、また別の道でしょうし、そういう志の人がいてもいいでしょうが、みなさんの多くは、「ライター業」にしろ、「作家業」にしろ、ご自分のビジネス経験を元にして、何らかの知見をビジネス関係の著作に生かしたいと言うことになるでしょう。
「ライター業」では、分量にもよりますが、紙のメディアだと、数千字の原稿を1本書いて1万円~数万円が相場だと思います。インターネットメディアだともう少し相場が安くなるでしょう。
「作家業」だと、1冊200ページほどの書籍を書いて、定価×印税×初版冊数が平均的なところです。こちらは、そこに至るまでのハードルはとても高くなります。印税は8~10%が標準ですが、無名の場合、もっと低くなることも珍しくありません。初版分の印税は、売上にかかわらず保証されることが多かったのですが、昨今出版業界もきびしく、保証してもらえない場合もあるようです。
副業と言っても、お金の多寡より、定年起業へのステップのため、自分のブランディングのためと考えた方がいいでしょうね。
(取材・構成:藤木俊明)