本当にやりたいことを仕事にしたい、とシニア起業を真剣に検討されている方も少なくないでしょう。久保晴也さん(52)は会社員としてピアノの販売を行っていましたが、アーティストのマネジメントにかかわりたいという思いが強く、45歳で退職。アルバイトで生活を支えながら音楽事務所設立の準備を続けました。
「わが国ではピアノという楽器がたいへん好まれていること、また、ピアノを演奏する場所が多いことから、ピアニストを中心としたアーティストの事務所を作りたいと考えたのです」(久保さん)
しかし、久保さんは楽器の販売というノウハウは持っていたものの、音楽業界のノウハウはまた別もの。本で読んだ程度の知識ではやっていけないことを悟ります。そこで、インディーズの音楽事務所の協力を得て、アーティストのオーディションやレコーディング、プロモーションなどを実際に体験することにしました。
その後、久保さんは弊社(銀座セカンドライフ)の会員になり、2011年4月に株式会社Jewel Box Music(jewelboxmusic.jp/)を立ち上げ、代表取締役に就任しました。
「営業やオーディションを行うときなどには、法人でないと信用がないと考えたからです」と久保さんは言います。
株式会社設立と資本金増資も弊社がお手伝いしました。起業する人からはよく「資本金をいくらにすればいいの?」という質問を受けます。基本的には、“開業資金+運転資金”と考えてください。また、土地や建物、自動車、機械などの現物出資も可能です。資金力や事業規模に見合った資本金の額を検討しましょう。
久保さんは現在、女性ピアニスト「ぽろん」らのマネジメントを行い、CD制作やライブイベントの開催を精力的に行っています。
「人に使われて仕事をしていた時に比べてプレッシャーや不安は大きいですが、仕事を成功させた時の満足感もまた大きいです」と久保さんは満足げです。 (取材・構成 藤木俊明)